マーケティング
SEOに代わるAI時代の検索対策「LLMO」とは
掲載日:2025/08/12

自社コンテンツの検索流入施策として、SEOが使用されてきた。しかし、生成AIが登場してから、検索エンジンの代わりに生成AIを利用する人が増えており、従来のSEOだけでは自社サイトを見てもらえる可能性が低くなりつつある。LLMOは生成AIに引用されやすくするために必要な要素である。LLMOとSEOとの違いや、LLMOをどう実装するのかを見ていこう。
LLMOとSEOの違い
LLMO(Large Language Model Optimization=大規模言語モデル最適化)は、生成AIで出力される回答に、自社のサイトや自社製品を表示させる最適化戦略のことを指す。
インターネット黎明(れいめい)期の1998年にGoogleが設立されて以来、自社サイトへの誘導手法としてSEO(Search Engine Optimization=検索エンジン最適化)が用いられてきた。
SEOは、検索エンジンを用いたときに上位に表示させる施策のことで、サイトへのアクセス数増加を目的として利用されてきた。SEOの場合、検索キーワードのニーズに合った、情報の正確性、信頼性、権威性などを担保したコンテンツを作ることで、検索エンジンのアルゴリズムに評価され、上位表示されるのだ。
一方、LLMOでは、生成AIが出力する回答に自社の情報を引用または参照してもらうための施策となる。
2024年5月にアメリカでユーザーの検索結果の概要をAIが生成・表示する機能であるGoogleのAIO(AI Overviews)が実装されて以来、検索からのオーガニックトラフィックが最大で60%減少したというケースもある。
SEO施策の効果が全くなくなったわけではないが、今後はLLMOも導入していくことが必要になる。
LLMO導入のメリットとデメリット
近年、検索結果ページだけを参照し、リンク先を訪れない「ゼロクリック検索」が増加している。そのため、今後はSEO対策をしても検索サイトで概要を読むだけで、自社サイトまでアクセスしないユーザーも増えるだろう。
対してLLMOを導入していれば、AI経由で自社サイトのコンテンツが引用される可能性が高くなる。生成AIの回答に引用元が記載されていれば、自社サイトまでたどり着かないユーザーは大幅に減少するだろう。
もう一つのメリットとして、Google検索では、コアアップデートにより表示順位に影響が出ることもあるが、生成AIではその心配が少ないことが挙げられる。
デメリットは、自社コンテンツへの流入数の測定など施策の効果が見えにくいことだろう。生成AIに引用されるか、という点でも、SEOと比較して対策が取りづらい。また、生成AIによっては出典元のリンクが表示されないものもある。当面は、LLMO対策を進めるとともに、SEOも並行しておくことが最善だろう。
どのようにLLMOを実装するか
LLM(大規模言語モデル)に参照されるためには、正確な内容や明瞭な文章などがポイントとなる。コンテンツ内容やテクニカル対策は、現状ではSEOで行っていたことと大差ないが、正確な情報を掲載することで信頼性を高めたい。
質の高いコンテンツ作成
あいまいな表現や主語述語が分かりにくい文章は、LLMに拾われる可能性が落ちる。適切で分かりやすい文章構造にすることが大切だ。特にPREP法を用いた構成や、Q&A型の内容にするとLLMが拾う可能性が高くなる。
E-E-A-T
E-E-A-Tとは、経験(Experience)、専門性(Expertise)、権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)の略。Googleが検索品質評価ガイドラインで定義しているWebサイトの評価基準だ。

テクニカル対策
LLMOの基礎的なテクニカル対策として、JSON-LD(JavaScript Object Notation for Linked Data)形式の構造化データ実装が挙げられる。構造化データは検索エンジンがHTMLのコンテンツを理解しやすいようにタグで整理したものであるため、LLMOの実装には効果的な手段である。
また、llms.txt(Large Language Models Text)の設置も有効だ。llms.txtは、コンテンツの内容をLLMが理解しやすい形式で提供する標準ファイルのことである。
効果的なコンテンツ制作のためには

検索エンジンや大規模言語モデルに評価されるコンテンツは、多くの場合、読者にとっても信頼性が高く、有益な情報で構成されている。言い換えれば、人に支持される高品質なコンテンツ制作は、そのままLLMや検索エンジンへの最適化にもつながるといえるだろう。