ワークスタイル改革
リスキリングでキャリアアップ!
2025年時点で受けられる補助金制度を紹介
掲載日:2025/06/10

生成AIの普及により業務の効率が向上する一方で、ビジネスで求められるスキルも変容し、リスキリングを意識し始めた社会人も多いはずだ。今回はそうした従業員が在籍する企業に向けて、リスキリングの費用を抑える補助金制度を紹介する。
リスキリング関連の補助金まとめ
企業が社員のリスキリング支援に活用できる給付金・補助金を三つ紹介する。
教育訓練給付金
教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した人を対象に、その受講費用の一部を支給する制度だ。その取得内容に応じて、「一般教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」の三種類に分類され、給付額の上限も異なる。

「専門実践教育訓練給付金」では、国家資格を必要とする職種や専門性の高い業務に関する講座を受講する場合が対象となり、「特定一般教育訓練給付金」では、求職者の速やかな再就職や早期キャリア形成に役立つ資格の取得を目指す講座などが対象だ。
受講修了段階では「専門実践教育訓練給付金」は受講費用の最大50%、「特定一般教育訓練給付金」では40%が支給されるが、特に「専門実践教育訓練給付金」では、さらに修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用され、賃金が受講前から5%以上向上した場合には、受講費用の最大80%まで給付額が拡大される。
「一般教育訓練給付金」は、就職促進に資する教育訓練が修了した段階で、10万円を上限に受講費用の最大20%が給付される。

特に「専門実践教育訓練給付金」および「特定一般教育訓練給付金」の対象講座には、中長期的なキャリア形成に寄与する内容が含まれているため、自身の興味がある講座があれば積極的に利用を検討したい。
スキルアップ支援事業
公益財団法人東京しごと財団が行う、東京都内の中小企業を対象に、スキルアップ研修の実施費用の一部を助成する事業だ。同事業には「事業内スキルアップ助成⾦」「事業外スキルアップ助成⾦」「DXリスキリング助成⾦」「育業中スキルアップ助成⾦」の4種類の助成金がある。

例えば「DXリスキリング助成金」は、教育機関が実施するDX関連の研修費用の一部を助成する。交付限度額は年度単位で最大 100万円。研修内容は「クラウド整備のための情報セキュリティ講座」や「DX推進のためのマネジメント講座」などが例として挙げられる。DX推進を強化したい企業はぜひ検討してみてはどうだろうか。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、事業者が従業員のスキルアップに寄与する職業訓練などを実施した際に、その経費や賃金の一部を助成する、厚生労働省主導の制度だ。同制度は七つのコースに分かれているが、特にデジタル人材の育成に寄与するのが「人への投資促進コース」だ。助成の限度額は一事業所ごとに最大で年間2,500万円。同コースは「定額制訓練」や「高度デジタル人材訓練」など、さらに五つの訓練に分類されている。
五つのメニュー のうち、「高度デジタル人材訓練」の活用例として、システム開発・運用保守を行える人材育成を目的に、従業員へ情報処理安全確保支援士(ITSSレベル4)などの講座受講を促し、助成を受けたケースがある。
リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業
経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は、転職を検討している在職者が、キャリアプランの相談からリスキリングプログラムの受講、転職支援まで一気通貫で支援を受けられる事業だ。転職支援などを行う企業は年間で最大56万円の補助が受けられる。
同事業のリスキリングプログラムでは、プログラミングやWebデザイン、医療、介護・福祉などさまざまな分野の講座が用意されている。
同事業では転職先の紹介まで支援を受けられる点が特長だ。そのため、現職からのキャリアプランの相談から本格的にキャリアチェンジを検討する社会人におすすめだ。
先の読めないAI時代だからこそ継続したリスキリングを

今回紹介したリスキリングを支援する公的制度は、個人単位で利用できるものから企業単位での実施を支援するものなどさまざまな特色を持つ。リスキリングという言葉からIT系の技能を習得するイメージがあったかもしれないが、幅広い職種に対応している点も理解していただけたのではないか。クライアントとの話題の一つとして紹介ができれば、信頼関係の構築が進むかもしれない。