中小企業

人手不足による倒産数が過去最多!
中小企業が取るべき対策とは

掲載日:2025/04/28

人手不足による倒産数が過去最多! 中小企業が取るべき対策とは

2024年度の人手不足を原因とする倒産数は過去最多の350件に上る。今後も少子化による労働人口の減少で、人手不足はますます深刻化するだろう。本記事ではそんな人手不足の時代に中小企業が着手すべき対策などについて解説する。

2024年度の人手不足倒産は前年比1.2倍

帝国データバンクの調査によると、従業員の退職や採用難、人件費の高騰などを背景とする2024年度の企業の人手不足倒産は前年比約1.2倍の350件に上り、2年連続で過去最多を更新したという。

業種別で内訳を見ると、建設業が111件(前年比+17件)と最も多く、全体の3割を占める。次いで物流業42件(同-4件)となっている。2024年度から時間外労働の上限規制が適用された建設業および物流業が全体の4割強を占める結果となった。

今後の展望について、帝国データバンクは「マンパワーの拡大は期待しにくいことから、人手不足による倒産は今後も高水準で推移する」と予測している。業界を問わず少子高齢化が進み労働人口の減少が見込まれる日本では、人手不足対策は急務と言える。

関連記事:待ったなし! 2024年問題を最終チェック

中小企業が着手できる人手不足対策

人手不足は離職者の増加や従業員の意欲低下などをもたらし、最終的には倒産につながり得る。少子高齢化・労働人口の減少が続く中、中小企業は人手不足にどのような対策を打てばよいのだろうか。

省力化の推進

人手不足対策として最も有効なのは「省力化」だろう。しかし、省力化の方法が分からないという中小企業も多いはず。そのような企業が検討したいのが「中小企業省力化投資補助金」の活用だ。

この補助金の特長は、カタログから省力化製品を選んで導入することで、導入費用の最大1/2の支援が受けられることである。省力化の方法が分からなくても対象の製品を導入するだけで実施できるため、省力化対策の最初の一歩として有効だ。

なお、カタログに掲載されている製品には清掃ロボットや飲料補充ロボットなどが挙げられるほか、その他の掲載製品も多種多様であるため、幅広い業種に対応している。

関連記事:中小企業の人手不足改善の切り札に⁉ 「中小企業省力化投資補助金」を解説

求人戦略の見直し

既に求人は出しているが、「そもそも応募が来ない」「応募者とのミスマッチが多い」などの場合、求人戦略の見直しが不可欠だ。まず簡単に取りかかれるのが求人内容の工夫だ。求人情報の閲覧者に「ここで働きたい」と興味を持ってもらうために、職場の雰囲気や従業員の人となりが分かるコンテンツを記載すると良いだろう。

また、日ごろから企業の認知度向上や親近感の醸成などを図るために、企業ホームページやSNSなどで情報発信をすることも認知数の増加に寄与することだろう。

シニア人材の採用

経験や実績の豊富なシニア人材の採用も人手不足解消に直接寄与する。内閣府の調査によると、65歳以上の就業者数および就業率は上昇傾向にあり、特に就業者数は20年連続で前年を上回っている。2023年の65歳~69歳の就業率は52.0%に上ることからも、65歳以上でも働くことが珍しくない時代になりつつあると言える。

シニア人材を獲得するためには、柔軟な勤務形態を用意しておくことが重要だ。例えば週3日勤務や時差出勤などを認め、シニア人材が活躍しやすい環境を整えておこう。

多様な働き方の整備

多様な働き方を認めることは、シニア人材だけでなく、若手人材の採用強化にも寄与する。1990年半ば〜2010年代初頭に生まれたZ世代はプライベートを重視し、残業を望まない仕事観を持つのが特長だ。

そのため、通勤時間を削減できるテレワークや短時間正社員制度などを導入することで、Z世代の期待に応えられる可能性がある。また場所や時間にとらわれない多様な働き方を容認することで、既存社員の働きやすさの改善にも寄与し、離職防止の効果も期待できるだろう。

少子高齢化などの影響で、労働人口の増加が見込めない以上、今後も人手不足は企業に立ちはだかり続ける課題だ。省力化やシニア人材の活用など、先手で対策を打っていき、この人手不足時代を乗り越えていきたい。

関連記事:デジタルネイティブなZ世代が求める働き方