中小企業
PCにも押し寄せる値上がりの波
効果的な営業アプローチとは
掲載日:2025/04/15

円安や原材料価格などの高騰を背景に、PCやPC周辺機器の値上げが続いている。そのような状況下で、ベンダーとして効果的なアプローチを行うにはどうすればよいのだろうか。本記事ではPCなどの値上がりの現状や効果的な営業アプローチを紹介する。
値上がりを続けるPCやPC周辺機器
2025年3月12日に日本銀行が発表した国内企業物価指数(2025年2月速報)によると、2020年時点での値段を100と基準に置いた場合に、情報通信機器は110.4、電子部品・デバイスは107.9となっており、PCやPC周辺機器の物価が10%前後も値上がりしていることが分かる。

この日本銀行の調査はやや大枠の分類だが、昨今は実際にPCやPC周辺機器の値上げに踏み切るメーカーも一定数見受けられる。
国内大手総合電機メーカーでは円安や原油価格の高騰などを理由に、2022年5月から2024年11月までに6回ものビジネスPCの値上げを実施している。別のメーカーでも2024年9月、原材料やエネルギー価格などの高騰を受け、ポータブルHDDを含む94機種の値上げを発表。値上げ率は最大56%に上る。
AIブームを背景に伸長している半導体の需要
PCなどの電子機器の価格に大きな影響を及ぼすのが半導体だが、AIブームを背景に半導体は今後も需要の増加が見込まれている。特に米半導体大手企業が覇権を握るGPU(画像処理半導体)の需要はAIブームが続く限り拡大していくだろう。需要拡大を背景とした販売価格の上昇や製品の値上がりを前提とした営業戦略を構築するのが賢明だ。
値上がりに対する顧客行動とその対策
値上がりに対する顧客行動は製品によって異なる。例えばお酒や菓子類などの嗜好(しこう)品はその他の製品と比較して必需性が低いため、買い控えが起きやすい。それではPCやPC周辺機器の値上がりに対して顧客の行動はどのように変化するのか。また営業担当者はどのようにアプローチするべきだろうか。
PCやPC周辺機器の対値上がりアプローチ
法人向けのPCやPC周辺機器の場合、業務での必需性が一定数あることから、相対的に値上がりによる買い控えは起きにくいことが予測される。その一方で型落ち品などのセールを狙っている顧客には、大量購入を条件に値引きを行う「ボリュームディスカウント」や「セット販売」を戦略的に行うのも有効だ。
PCの対値上がりアプローチ
一方、PCは値上げによって乗り換えを延期する顧客が増え、買い替えサイクルの長期化が起こる可能性がある。そのニーズの変化に対応するには、高スペックで長く使用できるモデルを提案することが求められるだろう。価格の絶対額自体は高いものの、年間コストで検討するとお得である点を訴求することが重要だ。
ただし、用途以上に高性能かつ高価格のものは買い替え意欲をかき立てられないため注意が必要だ。またPCを長く使用するための保守サービスや保証期間を訴求するのも効果的だろう。多くのメーカーではPCの保証期間は購入後1年間だが、マウスコンピューター社の一部製品は3年間のセンドバック修理保証※が付いている。「長く安心して使えること」に重きを置く顧客に対してはおすすめだ。
※故障や不具合が起きている製品の修理や代替品の交換を行ってもらうサービス
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値上がりによる顧客離れを防ぐために

値上がりの影響は企業にも着実に広がっている。ベンダーにとって最も怖いのが顧客離れだろう。値上がり前と同じアプローチでは顧客離れが進んでもおかしくない。しかし先述のとおり、製品によって値上がりに対する顧客の行動は異なる。製品や価格帯に応じた顧客行動やニーズの変化に応じたアプローチができれば、顧客離れの防止にとどまらず新規顧客の獲得も可能だろう。AIブームによる半導体需要の増加もあり、今後もPCやPC周辺機器の値上がりが続く可能性は高い。今後もさらなる値上げを想定した営業戦略を検討していきたい。